この記事は iOS VPN をゼロから設定する流れを扱います。クライアント導入、サブスクリプションの取り込み、システム構成の許可、動作確認の 4 ステップです。どの画面で何をするのか、つまずいたらまず何を見るのかまで書き切ります。
iOS の特徴は、VPN がクライアント単独では完結しない点です。構成はシステムが一元管理し、接続状態・許可・バックグラウンドの回収まで iOS が握ります。だから手順の途中でシステムのダイアログが 1 回出ます。ここを見落とすと、以降の手順はどれも正しく見えるのに通信だけが流れません。
始める前に:サブスクリプションとクライアント
必要なものは 3 つ。システム設定を変更できる iOS 端末、有効なサブスクリプションリンク、そして iOS クライアントです。端末の条件は緩く、「設定 → 一般 → VPN とデバイス管理」の項目が見えていれば、その端末は接続に必要な機能を備えています。
サブスクリプションリンクとは
サブスクリプションはトークン付きの URL で、パネル側で生成ます。形式はおおよそ次のとおりです(トークンはダミーです。実際のリンクは外部に共有しないでください):
https://example.com/sub?token=xxxx
これはアカウントのパスワードとは別物です。アカウントはパネルへのログインに使い、サブスクリプションリンクはクライアントが回線一覧を取得するために使います。リンク内のトークン部分がそのまま認証情報なので、誰が手にしても一覧を取得できます。スクリーンショットを撮ったりグループに貼ったりする前に、一度考えてください。
ヒント:サブスクリプションリンクは一度外部に出ると取り戻すのが困難です。スクリーンショットを共有する前にトークン部分をマスクするか、いっそこの端末専用のリンクをコピーし直しましょう。
ステップ 1:クライアントを入手する
クライアントはパネルのダウンロード入口から入手します。ログイン後にダウンロードページへ進み、iOS を選び、ページの案内に従ってインストールします。iOS のクライアントは大きく 2 種類あります。
- サブスクリプションと一緒に配布されるクライアント:ログインするとサブスクリプションが自動で同期され、回線一覧はパネルから配信されます。パラメータを手入力したくない人向けです。
- 汎用ネットワーククライアント:サブスクリプションリンクを手動で貼り付け、プロトコルパラメータ・分流ルール・DNS を自分で変更できます。ドメイン単位で分流したい人や、問題の切り分けをしたい人向けです。
どちらのクライアントも同じサブスクリプションリンクを使います。違いは、パラメータを誰が埋めるかだけです。インストール直後に接続を押すのは待って、次のステップで先にサブスクリプションを取り込みます。
ステップ 2:サブスクリプションリンクを取り込む
順番は決まっています。リンクをコピー → クライアントで新規サブスクリプション作成 → 貼り付け → 保存 → 更新。途中を 1 つ飛ばすと、ノード一覧は空のままです。
- パネルでサブスクリプションリンクを丸ごとコピーします。末尾のクエリパラメータを落とさないよう注意してください。
- クライアントを開き、「サブスクリプション」または「構成」の入口から新規に 1 件作成します。
- リンクをアドレス欄に貼り付けます。メモは任意で、たとえば「メイン回線」など。
- 保存したら「更新」を 1 回押し、クライアントが回線一覧を取得するまで待ちます。
| 取り込み方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| クリップボードから貼り付け | iPhone 上でそのまま操作する、最も一般的な方法 | リンクが長く、コピー時に 1 文字欠けやすい。貼ったら先頭と末尾を照合する |
| QR コードで取り込み | リンクがパソコン側にあり、カメラでクライアントに読み込む | QR コードの中身も同じリンク。読み取ったあと更新を 1 回押すのは変わらない |
| パラメータを手入力 | 回線 1 本分のパラメータしかなく、サブスクリプションがない場合 | プロトコル・アドレス・ポート・鍵を 1 項目ずつ入力。一時的な切り分け向け |
更新が終わると、クライアントに地域別にグループ分けされた回線が並びます。一覧が空になる原因は主に 3 つ。リンクが途中で切れている、リンクが失効している、現在のネットワークからサブスクリプションのアドレスに到達できない。まず別のネットワークで再試行し、それからリンクを照合してください。
ヒント:サブスクリプションは「一覧を取得する」もので、「つなげば終わり」ではありません。パネル側で回線が変わったら、クライアントに戻って更新を 1 回押してから見比べてください。
ステップ 3:システム構成を許可する
初めて接続を押すと、iOS がシステムダイアログを出します。内容は「あるクライアントが VPN 構成を追加しようとしています」といったものです。ここは必ず許可を選び、Face ID・Touch ID またはロック画面のパスコードで確認します。許可しないを選ぶと、クライアントの画面は何も問題なさそうに見えるのに、システムは一切の通信を転送しません。
確認が済むと、ステータスバーに VPN の表示が出ます。システムの「設定 → 一般 → VPN とデバイス管理」にも構成が 1 件追加され、状態は接続済みになります。
誤って「許可しない」を押した場合
クライアントに戻って接続を押し直せば、ダイアログは再度表示されます。出てこない場合は、システム設定でそのクライアントの残存構成を削除してから、もう一度接続してください。クライアントを乗り換えるときも、古い構成を先に片付けておくと、複数の構成が奪い合う事態を避けられます。
ステップ 4:動作確認
接続できたからといって有効とは限りません。iOS では 2 点を別々に確認します。出口地域が切り替わっているか、DNS も一緒に切り替わっているか、です。
出口地域を見る
ブラウザで任意の IP 所在地検索ページを開き、表示される地域が選んだ回線と一致するか見ます。東京を選んだのに地元が表示されるなら、通信が回線を通っていません。前のステップに戻り、システム構成の許可を確認してください。
DNS リークを調べる
DNS リークとは、通信は回線を通っているのに、ドメイン解決だけが地元のプロバイダに渡っている状態です。結果として出口は海外なのに解決結果は地元ノードになり、一部のサイトが開けなくなったり、認証を繰り返し求められたりします。調べ方は、DNS リーク検出ページを開き、解決サーバーの所在地が出口と一致するかを見るだけです。
一致しない場合は、クライアントで DNS を「プロキシ経由で解決」に設定するか、暗号化 DNS を有効にしてから検出ページを再読み込みします。iOS でもう 1 つ見落としやすいのが、システムの「プライベートリレー」です。これが有効だとクライアントの DNS ポリシーと衝突するので、切り分けの間は先にオフにしてください。
分流ルールの設定
分流はどの通信を回線に通し、どれを直接つなぐかを決めます。よくあるのは 3 段階です。
- グローバル:すべての通信を回線に通します。切り分けは最速ですが、地元のサービスも遠回りします。
- ルール:ドメイン・IP レンジ・地域リストで判断し、よく使うサイトは直接、それ以外は回線へ。日常用途はこの段階がおすすめです。
- ダイレクト:すべて回線を通しません。「回線の問題か、サイトの問題か」を比べるのに使います。
ルールモードで、通すべきサイトが通らない、直接つなぐべきサイトにつながらないときは、まずクライアントの接続ログでそのドメインがどのルールに一致したかを見ます。そのうえでホワイトリストに追加するか、ルールの順序を変えるかを決めます。接続を何度もオンオフするより、ログを見るほうがはるかに役立ちます。
プロトコルの選び方
クライアントでは回線ごとにプロトコルが表示されます。Shadowsocks、VMess、VLESS、Trojan は TCP 中心で互換性が最も高い方式です。Hysteria2、TUIC は QUIC ベースで UDP を使うため、電波状況の悪い環境ではハンドシェイクが速い反面、UDP が制限されるネットワークもあります。つながらないときは TCP 系のプロトコルに戻して比べてください。プロトコルはサブスクリプションから配信されるので、通常は手動で変更する必要はありません。
判断基準:出口地域が選んだ回線と一致している、DNS 解決サーバーも同じ地域に属している、目的のサイトが 3 回続けて途切れずに開ける。この 3 つがそろって初めて、この構成が iOS で動いていると判断できます。1 回開けただけでは不十分で、クライアントに表示される遅延の数字も参考程度に見てください。
各ステップで失敗したときに見るもの
よくある不具合をステップごとに整理しておくと、当てもなく再インストールするより速く解決します。以下のリストを上から順に照合してください。
- ✅ クライアントに回線一覧が表示され、前回のキャッシュではない。更新後に項目が変わっている。
- ✅ システム設定にそのクライアントの VPN 構成があり、状態が「未接続」ではなく「接続済み」になっている。
- ✅ ステータスバーに VPN の表示が出て、クライアントを閉じると消える。つまり接続は確かにそのクライアントが担っている。
- ❌ 一覧が空:まずネットワークを変えてサブスクリプションを取り直し、そのうえでリンクが途中で切れてコピーされていないか照合する。
- ❌ ダイアログで「許可しない」を押した:残存構成を削除して再接続するか、別のクライアントで許可を出し直す。
- ❌ 接続はできるがサイトが開けない:グローバルモードに切り替えて比べ、次に DNS 検出ページでリークがないか見る。
- ❌ 一部のサイトだけ異常:回線を何度も切り替えるのではなく、分流ルールの一致状況を調べる。
iOS ならではの 3 つの違い
- 構成はシステム管理:デスクトップのクライアントは仮想ネットワークアダプタを自前で持ちますが、iOS はシステムの VPN フレームワークを通す必要があります。そのためクライアントを変えるたびに許可を求められます。
- バックグラウンドの扱いが厳しい:iOS はバックグラウンドプロセスを積極的に回収します。長時間つないだままにしてからクライアントを開くと、再接続が必要な状態になっていることがあります。低電力モードはこの現象を強めます。
- サブスクリプションの更新はクライアントを開いたとき:バックグラウンドでは継続的に取得しません。回線を変えたり構成を変えたりしたら、一覧に戻って更新を 1 回押してください。
設定後:利用量とプラン
1 つのアカウントで端末台数は無制限、iPhone・iPad・パソコンで同じサブスクリプションを共有できます。利用量について、月額プランは契約日ごとに毎月リセットされます。¥9.9 で 60GB、¥18 で 250GB、¥28 で 500GB。たまに調べ物をする程度や、出張の数日だけ使うなら、トラフィックパッケージのほうが向いています。¥158 から 300GB、使い切るまで有効で、有効期限はありません。
初回のお支払いから 14 日以内であれば、理由を問わず全額返金を申請できます。支払い方法は Alipay、WeChat Pay、USDT に対応。登録はユーザー名とパスワードだけで、メールアドレスは不要です。これらがそろっていると、試すときのコストは想像より低く済みます。まず 4 ステップを通しでやってみて、そのうえで長く使うかを決めてください。